一緒に働きませんか?
今回は、県外から滋賀へ、または県内で移転したお店を取材。なぜその場所を選んだのか、そこに決めてよかった点など、それぞれエピソードや思いを聞きました。
滋賀の地酒が勢ぞろい なじみのある酒蔵のお膝元へ
お店は大津市京町に。JR「大津」駅からは徒歩7分ほど
寿司や京料理の料理人としてキャリアは30年以上。店主の永田喜昭さんが大津市で「すしとさけ 手水(ちょうず)や」をオープンしたのは昨年1月のこと。「滋賀県酒造組合」に属する全31蔵の日本酒が飲めると口コミで広がり、リピーターもいるようです。
以前は、京都の四条烏丸エリアで同名のお店を営んでいました。「よく日本酒の会を開催していて、当時から滋賀の地酒も多く扱っていたんです」と永田さん。
日本酒を愛するがゆえ「ちゃんと知っているお酒を店に置きたくて」と、自ら蔵元を訪ねることも。これが、なじみとなった蔵元のお膝元、滋賀に移転するきっかけに。ほかに、京都・山科出身という永田さんの遊び場が大津だったこともあり、「自然と〝滋賀びいき〟になっていた点も、後押しになったみたいです」と話します。
「京都のお店を閉めるときに、滋賀のお客さんからは『次にお店を開くならぜひ滋賀で』との声をいただいていました。京都から通って来てくださる方も多く『案外、近いね』と喜んでもらっています」
現在は、気軽に入れる寿司店として、周辺の人も多く訪れているそう。
壁に飾られた「鮨」の書は、友人で滋賀出身の書家・青木恒香さんからオープン祝いに贈られた作品
「ランチセット」(1200円)は握りずし4貫とおばんざい、天ぷら、赤だし付き。店で使用する野菜はほぼ滋賀産で、道の駅を巡るなどして買い求めているそう
- すしとさけ 手水や
- ■大津市京町1-3-36
- ■TEL:077(572)7838
- ■正午~午後1時30分(LO)、午後5時30分~10時(LO、日曜は9時)
- ■月休 ※土日祝のランチは前日までに要予約
- ■https://www.instagram.com/cyouzuya/
従来のファンも満喫 〝ハイブリッド〟なお店に進化
「オープン当初はキャパが大きくなって、てんやわんやだったことも。でも、いい経験をしています」と店長の浅尾さん
アメリカンフットボールで日本一に輝いた立命館大やパナソニックで活躍した、浅尾将大(まさひろ)さんが店長を務めることでも話題になった「カレー食堂ジャンゴ」。
今年3月に同じ彦根市に移転し、姉妹店の「サンバーガー」「大衆食堂すぎもと」との合同店舗として誕生したのが「彦根ダイニングジャンゴ」です。この3店舗のオーナーが、「いつか彦根にフードコードのような店を」という夢をカタチにしたものだとか。
「以前の店から現在の店までの距離は徒歩5分ほど…と、大きく変わらない部分もありますが、メニューのチョイスの幅がグッと広がったのが魅力です」と浅尾さん。
カレーは、スパイスを多用しながらも親しみやすさを大切にした、前店からの味わいそのまま。
「ハンバーガーやパンケーキ、定食類、そしてカレー。それぞれの専門店が自信をもって提供してきた料理が楽しめる〝ハイブリッド〟なお店です。お酒のバリエーションも多く、夜は居酒屋メニューの一品料理も増えます」とのこと。
従来のファンはもちろん、新たなファンの獲得にもつながっています。
1階はカウンターやテーブル席、2階には40席が用意され、各種宴会にもぴったり
人気の「カレー4種盛り」(1400円~)。写真は、チキン・ポークキーマ・ポークサグ・ワタリガニのココナッツの4種
- 彦根ダイニングジャンゴ
- ■彦根市立花町3-3
- ■TEL:0749(49)3557
- ■午前11時30分~午後2時30分(LO)、午後5時30分~9時30分(LO)
- ■木休
- ■https://www.instagram.com/jangocurry/
駅前から郊外へ 地元密着スタイルに変化
JR「野洲」駅から車で約10分の住宅街にある同店。駐車場も併設され、送迎バスがあるなど、アクセス面も便利
店主の髙利昭(たかとしあき)さん、圭美(たまみ)さん夫妻が営む「和風創作料理たか」は、4月に移転。
「今年の2月に25周年を迎えました。お店のスタートは野洲市の永原。その後、八幡や守山などを経て、今年の3月まではJR『野洲』駅前で10年ほど営業していました」と圭美さん。今回の移転先である旧中主は、利昭さんの地元です。
移転ごとに、ターゲットとする客とそのニーズも変わると、圭美さんは振り返ります。
「以前はアクセスも良く、広いお店をにぎやかに切り盛りしていたこともありますが、私たちもお客さんも年を重ね、いつかは郊外へ戻りたいとの思いがありました。中には、カップルがご夫婦になり、お子さんやお孫さんを連れて来てくださることもあるんですよ」
静かな住宅街という場所柄、訪れるのは地元の人が多数。お食い初めや法事といった行事に利用するファミリー層も増えているとか。これを踏まえ、カウンター以外の部屋は、落ち着ける完全個室に。ゆったりと楽しめる、ランチに力を入れているそうですよ。
個室は全てテーブル席。仕切りを外すこともできるから、親族一同の会食にも利用できそう
ランチのおすすめは「本日の特選お造り御膳」(2800円)。コース(平日5000円〜)のほか、「御膳」(2700円~ ※90分制、要予約)もあり
- 和風創作料理たか
- ■野洲市北比江110
- ■TEL:077(535)0240
- ■午前11時30~午後2時30分、午後6時~午後10時
- ■火休(不定休あり)
- ■https://www.taka-food.com/
〝ひとめぼれ物件〟からよりにぎやかな立地を求めて
県道25号線に面したお店。主にカフェは妻の和子さんが担当。オムライスといったフードメニューもあり
若いころから古本屋巡りが好きだったという河嶌敬治さんが営むブックカフェ「古書&cafe Loupe(ルーペ)舎」は、もとは「長浜八幡宮」の鳥居前にありました。
河嶌さんは「長年教職に就いていて、退職したら一日中本に囲まれた暮らしもいいな、と思って物件を探していたんです。そんな折、長浜で古書店が閉店すると聞いて見に行ったら…。ひとめぼれでした」とにこやかに話します。
2020年2月、その場所にお店をオープン。「落ち着いた雰囲気の良い場所でしたが、人通りが多くなくて。今年の1月、思い切ってそちらをクローズし、4月にJR『彦根』駅からも近く、大通りに面したここに移転しました」
中学で理科を教えていたこともある河嶌さんのお店には、約3000冊の古本のほかにサイエンス雑貨も並び、まるで小さな理科室のよう。月に一度、身近な題材で実験や観察をしたり、科学工作に挑戦する「サイエンスカフェ」を開催。
現在は近所の滋賀大学の学生や〝理科好き〟〝古書好き〟のほかに、駅の利用者など幅広い人が立ち寄る、話題のスポットになっているようです。
お気に入りの一冊を持ち、笑顔の河嶌さん。顕微鏡がのぞける「サイエンスルーム」があるのも特徴
河嶌さんが、時間をかけて買い集めた書籍は理系のものが多め
- 古書&cafe Loupe舎
- ■彦根市京町1-1-1
- ■TEL:0749(22)5048
- ■午前10時~午後6時
- ■月金・第3日休
- ■https://loupesha.com/
家族が楽しみやすい空間の実現も
お店は子育て世帯が集まる「南草津プリムタウン」内に。ウッディーなドアが目を引きます
大阪・南堀江で、「ひと口サイズで一度にいろいろ味わえる」と好評だったフィナンシェの専門店が、南草津に移転したのは昨年の9月。
「焼きたてフィナンシェKINSEI」の店主・北瞳さんは、フレンチレストランでパティシエの経験も。「大阪のお店のオーナーが地元に戻るのを機に、KINSEIを引き継ぐことに。そこで、私の暮らしの拠点である滋賀でお店を開くことにしたんです」
新天地選びで重視したのが、人のにぎわいがあるエリアかどうか。移転先は緑が多く、明るい雰囲気。行き交うファミリーも多く、イメージにぴったりだったそう。
「以前は30~40代のOLさんがメイン。今は、幅広い年齢層の方に来ていただいています」と北さん。自身も子育て中で、イートインコーナーにキッズスペースを設けるなど、ファミリーが親しみやすい空間にもこだわったとか。
国産小麦粉、北海道産バターなど良質な素材を使ったフィナンシェは、しっかりとコクがありつつ、軽やか。子どもが好みそうな品には洋酒を使わないといった心遣いも、地域の人に好評です。
ショーケースを眺めるだけでもワクワク。北さんが作る、軽やかに食べられるスイーツの数々が並びます
焼きたてのフィナンシェは100円から。「塩キャラメルとバナナチップ」など、フレイバーも多数。詰め合わせもOK
旬のフルーツを使った「季節のシフォンサンド」(520円、写真はイチジク)なども人気。こうした生ケーキは、大阪の店では作っていなかったとか
- 焼きたてフィナンシェKINSEI
- ■草津市南草津プリムタウン2-1-3-style101
- ■TEL:050(8892)8882
- ■午前11時~午後5時30分 ※イートインコーナーは~午後5時(LO)
- ■月休(不定休あり)
- ■https://www.instagram.com/kinsei2023/