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滋賀の子どもたちの「学ぶ力」
「生きる力」を育む取り組みが進行中
滋賀の教育の話題をお届けするコラム「きょういくPICK UP」。今回は、滋賀県教育委員会が2019年度からスタートさせている「『読み解く力』育成プロジェクト」を紹介します。
「読み解く力」とは、例えば文章や図、グラフなどから必要な情報を取り出す力、それらを自分が持っている知識と結びつけながらより深く考える力、相手の言葉や表情から思いを感じ取る力など―。勉強にはもちろん、社会でさまざまな人と関わっていく中でも大切な力を「読み解く力」と位置づけ、それらを滋賀の子どもたちが養っていけるような授業づくりを行う。そんな取り組みが、滋賀県内の公立小中学校で進められています。
積極性を生む授業
- 10月下旬に大津市立長等小学校で行われた研究授業。冒頭で、この日の「授業のテーマ」を担任の教諭が子どもたちに説明していました
実際にどんな授業が行われているかを知るために、大津市立長等小学校1年3組の国語の研究授業を見学してきました。
この日は、子どもたちが図書室の本などで調べてきた「自分の好きな動物のびっくりポイント」を、たくさんある中から3つに絞り、隣の席の友達と教え合うといった内容でした。友達に説明するときに本を開いて相手に見せ、写真を指しながら話している子、相手の説明について質問している子など教室のあちこちで積極的なやり取りが。
- 授業見学後は10数人の教諭らがじっくり討論
そして授業の後には、見学に来ていた教諭らが別室でディスカッションを。「掲示物が効果的に使われていた」「子どもたちのペアワークの効果をさらに高めたい」など、見習うべき点や課題点が共有されていました。「滋賀県教育委員会はここで得られた情報をまとめ、各校でこうした授業づくりが実現できるよう、それぞれの現場の状況に応じた活用方法を提案しています」と同委員会事務局幼小中教育課の森井貴士さん。
課題解決の一助に
滋賀県が「読み解く力育成プロジェクト」を独自に生み出した背景の一つにあるのは、滋賀の子どもたちの学力の問題。毎年文部科学省が全国の小6・中3生に対して行っている「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)では、滋賀県は小中学校とも全実施教科において過去6年間全国平均を下回り、全国的にみても下位層に位置しています。
「読み解く力を高め、発揮していく中で、相手の考えを知る楽しさや試行錯誤しながら自分で伝える面白さも感じてほしいです」と同課の福永かおるさん。そうした経験は、子どもたちの〝財産〟になりそうですね。